弊社では2024年に80tプレス機を導入いたしました。
それまでは45tが最大であったためトン数が約1.8倍となりました。
プレス機のトン数が増えることによるメリットは次の通りです。
①全周の長い製品に対応可
②より板厚がある製品に対応可
③せん断抵抗の高い製品に対応可
④対応金型サイズが大きくなったことにより多工程が必要な製品に対応可
以上の4つが主なものになります。
それでは①②③について説明していきます。
実際にP社様から見積依頼をいただいた製品Aを例といたします。
まずその製品が自社のプレス機で対応可能か判断する必要がありますが、
その際に使用するのがトン数計算です。
計算式は次のようになります。
打ち抜きトン数=抜く形状の全周長(mm)×加工材の板厚(mm)×加工材のせん断抵抗(kgf/㎟)×安全係数1.2/1000
実際に製品に当てはめてみます。
全 周 長:543.5
板 厚 :0.1
せん断抵抗:53
安全 係数:1.2
これを計算すると3.46となります。
計算結果から45tプレス機で十分対応可能とわかりました。
ただしこれはあくまで「打ち抜き」トン数であり
形状が考慮されていません。
次に「④対応金型サイズが大きくなったことにより多工程が必要な製品に対応可」の説明になります。
プレス機トン数による対応金型サイズは以下の通りです。
45t・・・450mm
80t・・・1100㎜
この製品は※(1)順送プレスではP(ピッチ)=40㎜で12ステージ必要な製品となります。
つまり金型サイズが40×12=480mmとなります。
以前までの弊社プレス機は最大45tだったため、この製品に対応できませんでした。
しかし新たに80tを導入したことで対応金型サイズが1100㎜となり
ステージ数を増やすことができ新規案件獲得につながりました。
※(1)順送プレスとは、1つの金型内に複数の工程が等ピッチで組み込まれており、
コイル材を順送りすることで順番に加工され完成品が排出されるというものです。
なお、金型内の各工程をステージと呼びます。
ちなみにですが金型サイズが大きいために対応不可なら
※(2)単発プレスで対応できないのかと思う方がいるかもしれませんが
次の理由から対応が難しいです。
1.精度がでない点。一般的に順送プレスの精度が1/100に対し単発プレスは5/100の精度となります。
なお、単発だと9工程となり、工程が増えれば増えるほど寸法公差が厳しい製品の加工難易度が上がります。
どうしてもイニシャルコストがかけれない製品でも、単発で精度を出すことは可能ですのでご相談ください。
2.板厚が0.1mmと薄すぎるため取り回しが大変な点
※(2)単発プレスとは、打ち抜き、穴あけ、曲げといった加工ごとに1つの金型を
使用する工法
長くなりましたが以上のような考えのもとプレス機の選定をしています。
既存金型による製品移管で何かお困りごとがございましたら、
一度お気軽に当社までお問い合わせください。
当社、営業・技術がお困りごとを解決致します。